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明日11月8日、三菱地所が東京・丸の内で建設した「丸の内二重橋ビル」の商業ゾーン「二重橋スクエア」がオープンする。日本初出店となる5店を含め、飲食や衣料など計25店舗が揃う。注目は、フランス人パティシエのピエール・エルメが世界初となる新業態として出店する「Made in ピエール・エルメ 丸の内」。日本らしさにあふれる食材を取り入れ、日本のよさを丸の内から世界へ発信するコンセプトだという。また、シンガポールのリゾート「マリーナ・ベイ・サンズ」の人気レストラン「ADRIFT by David Myers」も日本初進出。カリフォルニアのスターシェフ、デビッド・メイヤーが手掛ける店で、素材の味を生かした小皿料理とワインが楽しめるそうだ。
都心の再開発はますます盛り上がっており、なかでも東京駅から有楽町駅周辺にかけてのエリアには案件が集中している。当該地域では半年ほど前に、「東京ミッドタウン日比谷」の開業が話題となった。オープン直後の賑わいが落ち着いた頃、ご多分に漏れず筆者も訪れた。神奈川の書店チェーンが居酒屋や理容室、眼鏡店など7つのコンセプトを打ち出す斬新な複合施設やニューヨークの人気店「Buvette」など、予め情報収集していた話題の店は大いに繁盛している様子が垣間見えた。
そして、その帰り際、出口近くに何台ものクルマがディスプレイされている様に目が止まった。見ると、高級車ブランド「レクサス」のブランド体験型施設とある。レクサス車の魅力とブランドの世界観を様々なかたちで体験してもらうことで、レクサスをより身近に感じさせるのが目的だという。ショールーム機能や試乗はもちろん、カフェや雑貨のショップも併設している。クルマに限らず、消費者のライフスタイル全般にブランドとしてアプローチしているわけだ。
レクサスブランドは、リーマンショックや米国発のトヨタ車品質問題、東日本大震災といった逆風による停滞感以降、2012年に再構築され大きく変わった。販売店における接客では、ブランドの「語り部」たるエキスパートを育成している。車の知識はもちろん、ものづくりの現場に足を運ぶこともあれば、時計やビンテージワインの話題について学ぶこともある。こだわりが深いレクサスオーナーに対応でき得る、うんちくを含めた「語り」ができるステージを目指しているという。
一方、BMW日本法人は、今月24日に「ショップチャンネル」で電気自動車(EV)を販売すると発表した。同局は視聴者の9割が女性で、全体の約8割は50代以上が占める。番組にトップセールスを出演させることで、なじみが薄いEVの価値を女性やシニアへ訴求することができるとしている。また、テレビ通販への進出で革新的なイメージづくりの構築を目指すという。
大きな転換期にある自動車産業では、従来の常識を覆す新たな発想に基づく販売戦略が進められているが、ツーリズムの販売の現場においてはどうだろう。期待を上回る提案力が必要といったことや、お客様から信頼を得るに足りる知識を身につけることが求められるといったことが言われて久しいが、今般示したほどの斬新な挑戦は見られない。販売する商品に大きな差がないからこそ、店づくりや接客手法にブランディングに紐付いた独自性を設けることでロイヤルティを獲得せねばならない。流行りの技術や世の流れに迎合するだけではなく、半歩先を見据えた新たな発想に基づいた注目に価する施策の推進が期待される。そこで、BSや地方局でこのほど旅の「テレビショッピング」を始めた阪急交通社の取り組みには注目している。マスメディアを活用し、映像によるインパクトと出演者同士の掛け合いによる消費者へのリーチがどう市場に影響を与えるか、結果を待って深堀したいと考えている。
TOPIC:A
ワイン・時計…「高級」語れる販売員に
2018.11.05(月)日経MJより抜粋
「それまではあまりマーケティングの概念がなかった」。トヨタ専務役員を兼ねる沢良宏プレジデントはレクサスを車だけでなく顧客のライフスタイル全般のブランドに変えるよう動いた。レクサスミーツが象徴だ。販売現場の「おもてなし」もさらに進化した。
「ご来店ありがとうございます。合う車を一緒に考えさせていただきます」。来店客にこう話しかけたのは「レクサススペシャリスト」の須藤重幸さんだ。帝国ホテルや外資高級ホテルで接客してきた元ホテルマン。07年に転じ、レクサスがブランドの語り部として育成を始めたスペシャリスト第1期生として17年秋に活動を始めた。営業責任者を兼ね、スタッフにおもてなしを伝授する。
TOPIC:B
テレビ通販でEV販売 BMW、女性とシニアに的
2018.09.25(月)日本経済新聞より引用
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