ライブ感+コミュニケーション

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 「モテクリエイター」を自称する、元HKT48の「ゆうこす」に会うため、先日東京国際フォーラムへ赴いた。といっても、アイドルとの握手会に出掛けたわけではない。日経グループによる講演会が催され、「講師」の彼女に会いに行ったのである。「5秒で完売、ゆうこすのライブコマース最前線」と題したセッションには、24歳の元気いっぱいでキラキラ輝いている女性と、「日経のイベントならでは」とも言える少々お疲れ気味のおじさま受講生達が鎮座するのが正対しているという、何とも異様な空間でセミナーは展開された。


 主な内容は、スキンケアブランド「youange」と、旅先で買い付けたアイテムを販売する「TaVision」での実体験をベースに、ライブコマースのノウハウを語るものだった。様々な気づきが得られたなか、特に印象に残ったのは、デジタル技術に載せてファンへの「おもてなし」を随所に展開しているという部分だ。化粧品や洋服の販売が最大の目的ではあるものの、視聴しているファンに寄り添い、様々な角度からコミュニケーションを図ることに腐心している。動画配信とSNSをうまく使いわけるなどして、価格以外の価値をうまく付加して当該サイトでの購入体験価値を高めようとしているのだ。ライブコマースをコミュニケーションツールとして活用しながら、結果として商業的な果実も得ているというイメージを持った。


 ライブ動画配信を通して商品やサービスを販売するライブコマースは、数年前に中国でブームに火がついた。中国では5千億円超の市場規模とされるが、日本ではまだ黎明期である。「SHOWROOM」「LiveShop!」といったアプリの誕生に合わせて、業種を問わず続々な日本の企業も参入を始めた。Amazonが、明後日7日から実施する「Amazonサイバーマンデー」において、有名YouTuberとコラボしたライブコマースを始めるという話題には市場の注目が注がれている。


 先日、ジャパネットクルーズと阪急交通社トラピックスの担当者へ、それぞれが展開している「旅のテレビ通販」について取材したが、いずれにおいても、いわゆる「スマホ動画」の活用やライブコマースへの参入までにはまだ時間がかかりそうに思えた。マスに訴えかけるテレビ通販とは異なり、コメント機能によるリアルタイムでの会話が展開できる故に、ライブコマースでは売り手と買い手の距離が相当近く感じられる。テレビ通販のウェブ版と単純には評せない。無形の「旅」という商品に対する購入前の不安感を、払拭可能な水準へと昇華できる可能性を秘めているのは大きな魅力だ。


 観光産業内においても、様々なオープンイノベーションが図られているものの、お客様との接点拡大やコミュニケーション深化に関わる施策で外部のIT人材を活用している様子は感じ取れない。UI・UXをデザインで向上させるだけの小手先な枠組みにとらわれず、プロとして顧客とどう向き合うべきなのかという本質を改めて検討すべきことを気付かされた。





TOPIC:A

オープンイノベーションの課題
2018.09.17(月)日経ビジネスより抜粋

(日本企業のオープンイノベーションは)ただ「待っている状態」だ。企業間で意見交換するイベントなどが開かれることがあるが、そのテーマは往々にして「少子高齢化を考える」とか「住みよい社会とは」など、極めて漠然としていることが多く、場に集まった他の企業から何とかアイデアをもらおうとしている。白馬に乗った王子様が不在のなか、みんながシンデレラストーリーを思い描いているのだ。これでは新しいものはなかなか生まれない。


TOPIC:B

Amazon、通販ライブ動画。インフルエンサー起用、5G にらみ乱戦模様
2018.11.21(水)日本経済新聞より引用

ライブコマースはインフルエンサーの評価や消費者の口コミを活用した販促活動が盛んな中国で先行して拡大。アリババ集団のネット通販「タオバオ」が2016年に始め、急速に広がった。模倣品の販売が横行している中国では、写真だけでは判断できない商品の質を、生配信の動画で確認しようとする需要が大きいという。

サービス連合情報総研

一般社団法人サービス連合情報総研のホームページです。 この組織は、旅行・宿泊・国際航空貨物で働く仲間でつくったシンクタンクです。 2018年3月本格稼働。業界で働いているからこそ、の視座で情報発信します。