ビジュアル依存からの脱皮PDF版はこちら 当法人では、会員組織の所属員を読者とする季刊誌を発刊している。実質的な前身団体から引き継ぎ、最新の9月20日発刊号は、第195号を数えるに至った。当法人が発行を担うようになってからは、シンクタンク組織としての調査研究活動のアウトプット手段の一つと位置付けた内容で構成している。今年度に入ってからは、ツーリズムの広報・広告領域での社会とのコミュニケーションにフォーカスを当てて研究している。具体的には、企業が発信するうえで現状不足している「社会情報」について整理し、社会・消費者・顧客とのコミュニケーションのあるべき姿をまとめている。そのため、業種を問わずにコンテンツの制作現場を訪れるとともに、媒体運営の責任者に取材を敢...10Oct2019REVIEW
優秀な人材を自前で育てるPDF版はこちら 新元号「令和」発表に沸いた4月1日。観光産業の労働組合を母体とする当組織にとって、注目すべき制度がはじまった。働き方改革関連法、そして改正出入国管理法の施行である。前者においては、年10日以上有給休暇取得の権利がある従業員の、最低5日以上の取得義務化の行方に注目している。使用者による「不利益変更」は起きないだろうか。「休日」を労働日としてその日を有休の取得としてしまう方法や、年末年始などの連続休暇制度を取りやめて有休指定するやり口などが想像されるが、果たして。当法人は経年的に大手ホテルチェーンから調査事業を受託している。昨年度の有休取得状況の回答結果をみると、10日以上付与されているにも関わらず取得日数がゼロと答え...09Apr2019REVIEW
頼る所は、人かAIかPDF版はこちら 春闘、真っ只中である。しかしながら、相応の「活気」が感じられたここ数年と比べて、政労使いずれもその熱量は低下している。「官製色」が圧倒的に薄れたためだろうか。企業はベースアップから距離を置き、労組も「現実路線」を採る。その流れのなか、「従来型」の賃金改善よりも、人材確保につながる「働き方」を問う姿勢が見てとれる。 労働組合が掲げる目的は、「組合員の雇用維持」「労働条件の改善」が一般的だ。後者を実現することにより、現在働いている人の「働きがい」「働きやすさ」を確保しつつ、優秀な人材を新たに確保するためのツールとすることで前者の目的を達成する。終身雇用や年功序列型賃金の考え方が崩壊した今、賃金については、多くの企業が...29Mar2019REVIEW
個性を生かしたブランディングPDF版はこちら 店舗のあり方についてのニュース記事が散見される。商品やサービスをECで購入することが主流となった昨今、従来定義されていた店舗のことは「リアル店舗」と表現されることが多い。金融や小売業が「リアル店舗」を「復活」させるべく様々な取り組みを進める一方、旅行会社は総じて無策に見える。何かを始めたといっても、オープンイノベーションをアピールしたいがためのようにしか捉えられない、店頭でのARによるバーチャル旅行体験が関の山だ。もしや、他に何かしているのかもしれないが、「世の中に望まれていない取り組み」と判断され、報道や情報拡散がなされていないのだろうか……。とにかく、マーケット縮小を口実にした店舗数減という、極めてネガティブな...26Mar2019REVIEW
三方良しの省力化PDF版はこちら ここ数日、大阪の宿泊業界に関わるニュースが多い。ホテルチェーンのアパグループが、客室数1,500超のタワーホテルを梅田に開業する計画との報道には、そのスケールの大きさにとりわけ驚かされた。インバウンドで賑わい、2025年の万博開催を控える大阪。宿泊需要がこの先も中長期的に見込めるということか、阪急阪神ホテルズが2020年に1,000室クラスのホテルを大阪駅北側への出店を発表してから、半年ほどでの今般の話である。1,000室の「大阪最大規模」から1,500室の「西日本最大規模」へと人々の関心をあっさり移しかねないインパクト。大阪駅へのアプローチの至便性にはやや劣るも、飲食店が軒を連ねる曽根崎エリアへのアパ進出は、地元...15Mar2019REVIEW
陳腐化した知への依存PDF版はこちら 国連世界観光機関(UNWTO)は、観光教育に優れた高等教育機関を評価する国際認証「TedQual(テッドコール)」を設定している。観光学に関わる教育や研究を引っ張る各国の大学等に与えられるものだが、日本で取得しているのはわずか2校に留まる。国内で「観光」を大学名や学部名に冠する教育機関数は決して少なくないが、残念ながら国際機関の認証基準に値するような優れた取り組みはなされていないということのようだ。100項目以上の厳しい選考基準をクリアせねばならない「難関」とはいえ、海外では70を超える大学が取得済みである。観光立国推進を図るこの国の観光教育機関における現状としては、何とも頼りない。 ツーリズムに関する調査研究を当...13Mar2019REVIEW
ネット時代におけるリアル店舗の存在意義PDF版はこちら 旅行会社の店舗数が漸減傾向にある。「店舗ネットワークの最適化」とする経営の基本的な考え方によるものや、「安定的な黒字化の実現が困難」とする判断に則るもの、加えて入居するショッピングモール自体の閉鎖による「外部要因」によるものなど、その理由は様々だ。 ただ、店舗数減少の根本となる原因に、インターネットでの旅行申し込みが消費者の間で一般化したことが影響しているのは間違いない。ネット時代が訪れるまでは確実に存在していた「情報の非対称性」が崩壊してしまうと、消費者にはなかなか必要とされない存在に陥ってしまうわけだ。とはいえ、旅行会社側も無策ではない。お店のコンセプトや装飾に工夫を施すことで訪問者のワクワク感の醸成を図ったり...06Mar2019REVIEW
ライブ感+コミュニケーションPDF版はこちら 「モテクリエイター」を自称する、元HKT48の「ゆうこす」に会うため、先日東京国際フォーラムへ赴いた。といっても、アイドルとの握手会に出掛けたわけではない。日経グループによる講演会が催され、「講師」の彼女に会いに行ったのである。「5秒で完売、ゆうこすのライブコマース最前線」と題したセッションには、24歳の元気いっぱいでキラキラ輝いている女性と、「日経のイベントならでは」とも言える少々お疲れ気味のおじさま受講生達が鎮座するのが正対しているという、何とも異様な空間でセミナーは展開された。 主な内容は、スキンケアブランド「youange」と、旅先で買い付けたアイテムを販売する「TaVision」での実体験をベースに、ライ...05Dec2018REVIEW
ESGの風PDF版はこちら 2018年が残すところあと1ヶ月を切った。今年は、気象に関わる記録的な事象が発生したり、全国各地において地震や豪雨により大きな被害を受けたりするなど、自然災害が相次いだ年だった。「新語・流行語大賞2018」には、「災害級の暑さ」や「計画運休」がノミネートされ、前者はトップテンにも選出された。 異常気象は日本国内に限らない。北極圏で30度、アメリカでは50度を超えるなど記録的な猛暑が世界各地で広がった。7月、世界気象機関(WMO)は、同月に西日本を襲った豪雨災害も含めた一連の異常気象を、「温暖化ガスの増加による長期的な地球温暖化の傾向と関係している」との分析を記者会見で示した。 西日本豪雨や台風21号、北海道胆振東部...04Dec2018REVIEW
宿泊だけで社会貢献PDF版はこちら 先月仙台で開催された日本心理学会において、川畑秀明・慶応大教授らのグループが「泊まりたい宿は何によって決まるか?」と題する研究を発表した。「どのような宿に泊まりたいか」という宿泊先に求めるイメージと、「どのような宿であることが重要か」という宿泊ニーズに至る心理構造について明らかにすることを目的としているという。男女1,400人へのアンケート結果から、イメージ・ニーズとも、観光動機によって大きく影響を受ける可能性があることを示し、加えて利便性の必要有無は心理状態に左右されることなどが示された。そのなかで注目したのは、「観光や宿泊は現実世界と切り離された特別な体験であると考えられるが、親近性や娯楽性といったイメージが求...16Oct2018REVIEW
VR商品投入の覚悟PDF版はこちら 昨年のアカデミー賞で作品賞を含む全6部門にノミネートされた、映画「LION ライオン 25年目のただいま」。インドで迷子になった5歳の少年が、25年後にGoogle Earthで故郷を探し出したという驚きの実話が映画化されたということで話題になった。筆者にとってのGoogle Earthといえば、初めてそれを体験したときの没入感が強く印象に残っている。地球上のどこにでもあっという間に「飛んで」いくことが出来る仕様にはとても感動させられた。普段は決して立ち入ることのできない場所を空から眺められたり、訪れる予定のお店の周囲の様子を確認できたりと、旅行気分を堪能できる一方で実用的な活用も可能となる、実に使い勝手のあるソフ...22Sep2018REVIEW
サブスクリプションの可能性PDF版はこちら 「あと払い」で旅行に行けるアプリ「TRAVEL Now」のサービスがローンチされたのは今年6月28日。前代未聞のサービスに怪しさや危険性を感じたものの、これまでの常識とは全く異なる思想に興味を覚え、記者発表のライブ配信を食い入るように見入った。運営は「バンク」社。身の回りの不要なものをスマホで撮影すると、現金が即送金されるアプリ「CASH」は大きな話題を呼んだ。お金を今使えない(使いたくない)人が旅行に行く市場を創出する前例のない仕掛けに加え、リリース直後に展開された3万円以下の旅行を全て0円で提供する衝撃的な販売促進策も手伝い、初日にして5時間足らずで約4,500件を超える予約を受注したそうだ。長期で休みが取れず...06Sep2018REVIEW