頼る所は、人かAIかPDF版はこちら 春闘、真っ只中である。しかしながら、相応の「活気」が感じられたここ数年と比べて、政労使いずれもその熱量は低下している。「官製色」が圧倒的に薄れたためだろうか。企業はベースアップから距離を置き、労組も「現実路線」を採る。その流れのなか、「従来型」の賃金改善よりも、人材確保につながる「働き方」を問う姿勢が見てとれる。 労働組合が掲げる目的は、「組合員の雇用維持」「労働条件の改善」が一般的だ。後者を実現することにより、現在働いている人の「働きがい」「働きやすさ」を確保しつつ、優秀な人材を新たに確保するためのツールとすることで前者の目的を達成する。終身雇用や年功序列型賃金の考え方が崩壊した今、賃金については、多くの企業が...29Mar2019REVIEW
個性を生かしたブランディングPDF版はこちら 店舗のあり方についてのニュース記事が散見される。商品やサービスをECで購入することが主流となった昨今、従来定義されていた店舗のことは「リアル店舗」と表現されることが多い。金融や小売業が「リアル店舗」を「復活」させるべく様々な取り組みを進める一方、旅行会社は総じて無策に見える。何かを始めたといっても、オープンイノベーションをアピールしたいがためのようにしか捉えられない、店頭でのARによるバーチャル旅行体験が関の山だ。もしや、他に何かしているのかもしれないが、「世の中に望まれていない取り組み」と判断され、報道や情報拡散がなされていないのだろうか……。とにかく、マーケット縮小を口実にした店舗数減という、極めてネガティブな...26Mar2019REVIEW
三方良しの省力化PDF版はこちら ここ数日、大阪の宿泊業界に関わるニュースが多い。ホテルチェーンのアパグループが、客室数1,500超のタワーホテルを梅田に開業する計画との報道には、そのスケールの大きさにとりわけ驚かされた。インバウンドで賑わい、2025年の万博開催を控える大阪。宿泊需要がこの先も中長期的に見込めるということか、阪急阪神ホテルズが2020年に1,000室クラスのホテルを大阪駅北側への出店を発表してから、半年ほどでの今般の話である。1,000室の「大阪最大規模」から1,500室の「西日本最大規模」へと人々の関心をあっさり移しかねないインパクト。大阪駅へのアプローチの至便性にはやや劣るも、飲食店が軒を連ねる曽根崎エリアへのアパ進出は、地元...15Mar2019REVIEW
陳腐化した知への依存PDF版はこちら 国連世界観光機関(UNWTO)は、観光教育に優れた高等教育機関を評価する国際認証「TedQual(テッドコール)」を設定している。観光学に関わる教育や研究を引っ張る各国の大学等に与えられるものだが、日本で取得しているのはわずか2校に留まる。国内で「観光」を大学名や学部名に冠する教育機関数は決して少なくないが、残念ながら国際機関の認証基準に値するような優れた取り組みはなされていないということのようだ。100項目以上の厳しい選考基準をクリアせねばならない「難関」とはいえ、海外では70を超える大学が取得済みである。観光立国推進を図るこの国の観光教育機関における現状としては、何とも頼りない。 ツーリズムに関する調査研究を当...13Mar2019REVIEW
ネット時代におけるリアル店舗の存在意義PDF版はこちら 旅行会社の店舗数が漸減傾向にある。「店舗ネットワークの最適化」とする経営の基本的な考え方によるものや、「安定的な黒字化の実現が困難」とする判断に則るもの、加えて入居するショッピングモール自体の閉鎖による「外部要因」によるものなど、その理由は様々だ。 ただ、店舗数減少の根本となる原因に、インターネットでの旅行申し込みが消費者の間で一般化したことが影響しているのは間違いない。ネット時代が訪れるまでは確実に存在していた「情報の非対称性」が崩壊してしまうと、消費者にはなかなか必要とされない存在に陥ってしまうわけだ。とはいえ、旅行会社側も無策ではない。お店のコンセプトや装飾に工夫を施すことで訪問者のワクワク感の醸成を図ったり...06Mar2019REVIEW